こんにちは、副業ランキング管理人です。
今回はゲームアプリ売り上げが分かるサイト『Game-i』の予測売り上げ精度を検証してみました。
ゲーム株はセルランが株価に直結します。ですので、『Game-i』の予測売り上げ精度は非常に気になる部分です。
目次
ゲーム関連株情報『Game-i』
ゲーム関連株情報『Game-i』 は、
その名の通りゲーム関連株の情報を扱うサイトになります。
ゲームセクター株(ゲーム、ソーシャルゲーム)専門の情報分析サイトです。
サイトの掲載情報はインターネット上で公開されている情報をもとに独自の推測と計算により作成しています。
『Game-i』で扱っている分析情報に、「月間アプリセールス予測」があります。
これはセールスランキングから大体の売り上げを計算し、アプリの月商を予測する機能です。
『Game-i』の月間アプリセールス予測
『Game-i』の月間アプリセールス予測は決算や売り上げを予測する上で、とても便利な機能。
しかし、算出方法やいくつかの注意点があります。
以下に、『Game-i』の注意すべきサイト仕様を引用いたします。
算出方法
『Game-i』では、ランキングに対応した売り上げが算出されます。
あくまでも過去からの予測値になるので、多少精度のずれはあります。
【デイリーセールスランキング】×【ランク別デイリー売上予測値】
AppStoreのデイリーセールスランキングを記録し、ランク別のデイリー売上予測値を掛けています。
月間の売上はその合計値です。
売上予測値
『Game-i』では、iOSランキングで売り上げが算出されます。
ですので、iOSとAndroidとの売り上げ比率が異なるアプリは精度が悪くなる可能性があります。
ソーシャルゲーム関連のニュースで公開されている情報や決算で開示されている売上情報をもとに独自の設定をしています。
参考情報例: 課金売上トップは『モンスト』、勢いを増す『FGO』――『ファミ通モバイルゲーム白書2018』12月12日発売
売上予測値はiOS+Androidの合算値です。よってiOSのみでリリースされているアプリの場合は半額程度に読み替えください。
注意事項
200位より下位のアプリはデイリーセールスランキングが取得できません。
実際には200位以下でも売上が存在しますが、『Game-i』の仕様上、当日の売上は0円として処理されます。
200位以内をキープしているアプリであれば、何ら問題はありません。
一方で、200位以下を推移しているアプリは不十分な測定になってします場合があります。
『Game-i』の月間アプリセールス予測の検証目的
ゲーム株に投資する上でも、情報は重要です。
そして、それが正確で信頼性が高いものがやはり理想です。
ですので、『Game-i』の精度や信頼性を検証するために以下の視点から検証していきたいと思います。
- 売り上げの精度
- 条件による精度:セルラン上位とセルラン下位
- 条件による精度:iOSとGooglePlayランキングの乖離
売り上げの精度
売り上げの精度。
これは本来の売り上げと比べて、『Game-i』の予測売り上げがどれくらい正確なのかを検証します。具体的には、決算資料より読み取れるアプリの売り上げ値と『Game-i』の売り上げ値を比較します。
条件による精度:セルラン上位とセルラン下位
『Game-i』の仕様上、200位以下は当日の売上は0円として処理をしています。
上位アプリなら200位以下に落ちることは滅多にありません。しかし、下位アプリは200位以下によく落ちます。
「200位以下は当日の売上は0円として処理」の仕様がどこまで精度に影響を与えるのか調査します。
条件による精度:iOSとGooglePlayランキングの乖離
『Game-i』はAppStoreのデイリーセールスランキングを記録し、デイリー売上予測値を出しています。
しかし、アプリによってはiOSとGooglePlayの比率が異なるものもあります。
ですので、この仕様がどこまで精度に影響を与えるのかも調査します。
『Game-i』の月間アプリセールス予測の検証
それではさっそく検証に入りたいと思います。
今回は決算資料から売り上げが大体予測できる企業から検証していきます。また外部要因のノイズを減らすため、以下を満たすものを選びました。
- 開発&配信を自社で行っている
- ほとんどが日本のセルラン売り上げである
条件に合ったアプリと企業
- モンスターストライク(ミクシィ)
- 幻獣契約クリプトラクト(バンク・オブ・イノベーション)
- ゴシックは魔法乙女【ごまおつ】(ケイブ)
モンスターストライクはセルラン上位。
幻獣契約クリプトラクトはセルラン中位でiOSとGooglePlayの比率が異なる。
ゴシックは魔法乙女【ごまおつ】はセルラン下位でiOSとGooglePlayの比率が異なる。
モンスターストライク(ミクシィ)の検証
モンストの大体の売り上げは「2018年05月10日 2018年3月期 第4四半期及び通期 決算説明会資料」より読み取ることができます。
今回はQ4の2018/01~2018/03の数値を用います。
モンストはエンターテインメント事業売り上げに含まれており、ミクシィのこの部分の事業はほぼモンスト売り上げとなっています。ですので、2018/01~2018/03のモンスト売り上げは約513億と推定できます。
一方、『Game-i』の予測は下記の通り。
2018/03 | 96.5億 |
2018/02 | 92.0億 |
2018/01 | 109.0億 |
2018/01-03合計 | 297.5億 |
精度は57%……あれ? 全然合ってない?
この結果を受けて、調査方法を少し変更します。モンストは正月キャンペーン等で1位だと青天井(そこそこ課金されている時すごく課金されている時、いずれも1位としてランキングには反映される)の時があることを思い出し、ほかの期間で再計算。
FY2019のQ1決算資料(2018年08月09日 2019年3月期 第1四半期 決算説明会資料)の数値を使用します。2019年のQ1は2018/04~2018/06のエンターテインメント事業売り上げは327億。
一方、『Game-i』の予測は下記の通り。
2018/06 | 106.79億 |
2018/05 | 107.00億 |
2018/04 | 125.67億 |
2018/04-06合計 | 339.46億 |
一転してこちらはかなり精度が良く、精度は96%。
それでも10億くらい違うのはやっぱり売り上げの桁が違うからでしょう。
モンスターストライク(ミクシィ)の検証結論
- 1位の青天井も考慮に入れるべき
- 売り上げの桁が大きいと、精度が高くても売上額はそこそこの齟齬が出る
幻獣契約クリプトラクト(バンク・オブ・イノベーション)の検証
始めに触れておきますが、バンク・オブ・イノベーションの決算資料は優しさにあふれています。
アプリの売り上げを具体的な数値で出してくれるなんて優しい。
今回の数値は3Qの2018/04-06のものを使用します。(引用元:平成30年9月期 第3四半期決算説明資料)
引用元)平成30年9月期 第3四半期決算説明資料
決算資料の通り、3Q累計の売上高は19.5億。大体Q毎に1/3で3Qだけ落ちているので3Qは6億と推測して計算します。
一方、『Game-i』の予測は下記の通り。
2018/03 | 1.55億 |
2018/02 | 1.03億 |
2018/01 | 1.19億 |
2018/01-03合計 | 3.77億 |
精度は62%。正直、微妙です。
「200位以下は売り上げ0」「iOSランキングのみで計算」仕様が影響していると思われます。
幻獣契約クリプトラクト(バンク・オブ・イノベーション)の検証結論
- 200位以下は売り上げ0
- iOSランキングのみで計算
- 上記の仕様はそこそこ精度に影響している
ゴシックは魔法乙女【ごまおつ】(ケイブ)の検証
ラストはケイブのごまおつ。こちらも最新の決算資料を使用させていただきました。
今回はロードオブドラゴンや三極ジャスティスがほぼほぼなくなった2019の1Qで計算。1Qの2018/06-8の売り上げは大体決算資料からは6.2億と読み取れます。
一方、『Game-i』の予測は下記の通り。
2018/08 | 4,743万 |
2018/07 | 4,009万 |
2018/06 | 4,295万 |
2018/06-08合計 | 1.33億 |
精度は驚異の21%。正直、ここまでいくと使えません。
このような結果になった理由ですが、「200位以下は売り上げ0」「iOSランキングのみで計算」仕様が影響しているのは想像に難くありません。
特に「iOSランキングのみで計算」がごまおつでは働きました。参考までに、この期間中のGooglePlayとiOSのセルランをMobileindexから持ってきました。
上がGooglePlay、下がiOSとなります。
違いは一目瞭然。GooglePlayの基本レンジは100-200なのに対し、iOSは100-300とランキングのレンジ推移が大きく異なります。ごまおつはGooglePlay比率が高いために、先のような結果になったと思われます。
ゴシックは魔法乙女【ごまおつ】(ケイブ)の検証結論
- 200位以下は売り上げ0
- iOSランキングのみで計算
- 上記の仕様はやっぱり精度に影響している
『Game-i』の月間アプリセールス予測の検証結果
『Game-i』の月間アプリセールス予測の検証結果は22-96%とかなり状況によって、精度が異なる結果となりました。
ですので、「条件によっては使えるが大きく異なる部分がある」というのが結果として浮き彫りとなりました。
特に「iOSとGooglePlayランキングの乖離」が大きいように思えます。例えば、iOS:Androidの売り上げが3:7といった比率ですと、『Game-i』の仕様上売り上げが60%しか予測反映されません。そういった仕様上の注意点は、把握しておくべきでしょう。
ですが、比較的な観点からいきますと同じアプリの3Q対4Qという期間的な比較はけっこう使える部分だと思います。用途や使い方によっては、頼もしいツールになってくれるのではないでしょうか?
結論
- 『Game-i』は便利なツール
- でも用途や使い方には注意
- 1つのツールに頼らないで、様々なチャネルから情報を得ましょう!
今回もMobileindexや決算資料などから情報を得ましたが、様々な情報から複合的な結論を導くのが正解だと思います。近年はTwitterなどで情報収集する人も多いですが、間違った情報を流す方も多いので色んな情報を吟味しながら結論を出すのが大切です。
投資は自己責任なので、慎重に情報は取り扱いましょう。